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更年期障害

■更年期障害

<更年期障害とは>

  • 女性の場合
    • 卵巣の働きは40歳代に入ると、主な機能である排卵やホルモンの分泌が閉経に至るまで次第に低下しはじめ、やがて停止します。この様な変化が現れる45歳頃から、閉経を経て安定する55歳頃までの期間を更年期といいます。
    • 更年期障害は、軽い人も含めて約80%の女性が経験すると言われています。
  • 男性の場合
    • 男性の更年期は、女性の更年期にみられる様な大きな変化はありませんが、加齢による全身の機能低下(性機能の低下など)は、避けて通る事は出来ません。
    • 女性と同じ様に、仕事や家庭環境の変化でストレスを受けやすい状態で、「うつ」の様な神経症状となって現れる事があります。

<女性ホルモンの働き>

  • コラーゲンを増し、はりのある肌を作ります。
  • 乳房を発達させ、ふっくらとした形を保ちます。
  • 妊娠・出産にむけて器官を成熟させ、月経周期を調節します。
  • 細胞の機能を維持します。
  • 骨を強く保ちます。
  • コレステロールや中性脂肪を調節します。
  • 心臓や血管の機能を調節します。

<女性ホルモンの減少による身体の変化>

  • 月経が不順になり、やがて閉経します。
  • 自律神経が乱れてきます。
  • 精神・神経症状が現れます。
  • 物忘れが多くなります。
  • 体重が増加し、脂肪が蓄積して体型が変わります。
  • 動脈硬化を来たしやすくなります。
  • 骨量が減少します。
  • 皮膚のしわ・しみ・たるみなどが増えます。
  • 膣の炎症が起きやすくなります。
  • 尿失禁、頻尿などが現れます。

<最初の症状>

  • 最初の更年期の症状は、月経不順です。月経の周期がだんだん短くなったり、だらだら続いたりします。
  • 月経不順の始まりは早い人では40歳代前半、遅い人でも40歳代後半から始まり、閉経は50歳前後が一般的とされています。
  • この40~50歳代の女性は、いろいろなストレスを抱える時期です。家庭(家族構成の変化)や老親の介護、夫婦間の葛藤、又仕事上の人間関係、精神的なプレッシャーなどを感じる事が多くなります。そんな状況での生活は、不眠やイライラなど心因性の不定愁訴を起こしやすくなります。

<一般的な症状>

  • 更年期に入った女性の多くは、様々な不快な症状を訴えます。
  • 病院を受診し検査しても特に問題がないのに、明らかに不快な自覚症状がある。その様な症状を「不定愁訴」と呼び、更年期障害の代表的な症状と言われています。最も多い不定愁訴は以下のとおりです。
    • 顔のほてりやのぼせがある。
    • 汗がどっと出る。
    • 息切れがある。
    • 眩暈(めまい)や冷や汗がある。
    • 寝汗をかくなど
  • 上記のような身体の変調から、くよくよ考えて憂鬱になったり、興奮ぎみになったりします。
  • 個人の性格や気質もありますが、様々なストレスが絡み合って、現れる事もあります。
  • 気力・体力も充実している時期の更年期の症状は、やる気や集中力にも影響を及ぼす事があります。
  • この状況を職場や家庭で理解されない事が多く、つい1人で悩んでしまう方もいるかもしれません。そういう時は、医師に相談したり、状態を周囲の人に説明して理解してもらうと良いでしょう。

<原因>

  • 更年期の症状は、卵巣から分泌されている女性ホルモンの減少が原因で、安定していた身体の状態に、精神面や身体面で様々な変化として現れます。

<食事、休養、運動療法>

  • 適正なエネルギーを摂取する
    • 過剰ぎみの栄養素を控え、標準体重が保てる様にします。
    • 外食や間食にも気をつけます。
  • 良質の蛋白質をとる様にする
    • 良質の蛋白質は、身体に必要なアミノ酸(必須アミノ酸)を十分に含んでいます。特に卵、牛乳などの乳製品、肉、魚、豆腐にはカルシウムも豊富に含まれており、蛋白質をとる事により、カルシウムが効率よく吸収されます。
  • 脂質の摂取を控える
    • 動物性の脂質(例:卵、肉など)には血中のコレステロールを増加する成分が含まれている為、控える必要がありますが、上記に書いた通り良質な蛋白源を一切避ける事は望ましくありません。
  • ビタミンやミネラルは十分にとる
    • ビタミンの中でもビタミンA、B、C、Eが重要です。ミネラルは特にカルシウム、鉄が重要で、牛乳、小魚、レバー、海藻に多く含まれます。
  • 身体と心のバランスを整えるため、休養をとる
    • 就寝時間を午前0時以前にします
    • 適当な運動で適当な疲労を身体に与えます
    • 眠る環境を整え(騒音、寝具など)、自分にあった睡眠時間を確立するなど
  • 年代と目的にあわせて運動を行う
    • 安全に行えることが第一条件です。楽しく長く継続できるにものを選んでください。
    • ウォーキング、ジョギング、水泳、屈伸、水中歩行や体操など

<薬物療法>

  • ホルモン補充療法(HRT)
    • 不足している女性ホルモンを薬によって補う事で、症状を改善しようという治療法です。
    • 例えば、ホルモン薬に含まれるエストロゲンは、骨の形成を促す働きがある為、骨賞粗しょう症の予防にも効果的といわれています。
    • ホルモン療法は、長く続ける事で、以下の様な副効用があるとして、注目を集めています。
      ①軽い認知症の予防
      ②コレステロール値を下げます
      ③心筋梗塞・狭心症発症の予防
      ④皮膚の老化防止
      ⑤尿失禁や夜間頻尿などの緩和
      ⑥膣の環境を整え、性交痛にも効果があります
  • ホルモン補充療法(HRT)の副作用:エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響
    • 不正出血
    • 乳房の痛みや張り
    • 肝機能障害
    • 吐き気、嘔吐
    • むくみ
  • ホルモン補充療法(HRT)の副作用:プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響
    • 吐き気、嘔吐
    • 体重増加
    • 肝機能障害
    • 眠気、倦怠感
  • ホルモン補充療法(HRT)が絶対に禁止になる人
    • 子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺炎の患者
    • 乳がん、子宮がん患者
    • 血栓症、塞栓症にかかったことがある患者
    • 重い肝機能障害、心臓病、腎臓病のある患者
    • 高血圧の患者
    • 原因不明の不正出血のある人
    • インスリンを必要としている糖尿病患者、など

<漢方療法>

  • 体調を整えながら、身体を安定した状態にもっていくのが「漢方療法」です。更年期症状が軽い場合やホルモン薬を使えない場合に用います。
  • ストレス性の症状を和らげ、自律神経の様々な不定愁訴には、「漢方」が効果的といわれています。副作用は少なく、長時間の使用が可能です。効果がでるまでには、やや時間がかかります。

<心理療法>

  • 身体に関わるだけでなく、「イライラ」「不安感」「うつ状態」など精神的な問題がある場合は、心理療法が良いと思われます。
  • 信頼できる医師と話し合い、「ストレス」とうまく付き合っていく方法をみつけ、心の負担を軽減していきましょう。

<メタボリックシンドローム(症候群)の併発>

  • 更年期になるとメタボリックシンドロームに陥りやすいため、健康診断によって自分の体重、血圧、血糖値、コレステロール値などを把握する必要があります。
  • メタボリックシンドロームとは、過食や運動不足によって内臓脂肪が蓄積し、肥満・高脂血症・糖尿病・高血圧・脳卒中・心筋梗塞といった生活習慣病になりやすい状態にあることをいいます。
  • メタボリックシンドロームと診断されるおおよその目安(「ナイスミディ」ヘルスブックより)
    • ウエスト(女性:90cm以上、男性:85cm以上)
    • 脂質代謝異常(中性脂肪150㎎/dl以上、善玉コレステロール値40㎎/dl未満)
    • 血圧(上が130mmHg以上、下が85mmHg以上)
    • 血糖(空腹時血糖110mg/dl以上)

<参考:女性ホルモンの減少を起因とする、更年期障害以外の症状>

  • 脳の加齢変化
    • 女性ホルモンの減少が、脳細胞の減少や血流量に変化を及ぼし、記憶・認知機能と関わりを持っている事が明らかになってきました。
    • 40歳代後半から物忘れの頻度が高くなりますが、症状があっても、ほとんどが正常範囲内です。しかし、まれにアルツハイマー病が隠れている事もあります。
  • 動脈硬化
    • 女性ホルモンは、血液中の悪玉コレステロールを低く抑え、善玉コレステロールを増加させたり、血管壁が硬く老化する事を抑えています。
    • 閉経後は、こうした働きが低下する為、高脂血症や動脈硬化が起きやすくなります。老年期に増えてくる狭心症や心筋梗塞、脳血管障害を防ぐ為にも飲酒や喫煙を控え、肥満に注意しましょう。
  • 骨粗しょう症
    • 女性ホルモンが減少してくると、骨からカルシウムやリンが抜け、症状がすすむと腰や背中の痛みが出現してきます。
    • 閉経後に、急激に骨量が減少してくるので骨折の危険性が高くなります。なるべく早めに骨量の測定を受けて、骨の状態を知っておきましょう。
  • 尿失禁
    • 更年期の年代では、尿道口付近や骨盤の括約筋が加齢による変化を起こします。女性ホルモンの減少で、膀胱の粘膜や括約筋が萎縮してくる傾向があって、その為に尿意を抑えられなくなる場合があります。
    • 尿の回数がとても多い、いわゆる頻尿の場合は、子宮や卵巣に腫瘍がある場合もありますので、医師に相談してみて下さい。

女性特有・婦人科の病気

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